EAを自分で作ってみたい方に、僕がお勧めしたいのが「EAつくーる」です。
EAとは、MT4やMT5で動作する自動売買プログラムのことです。通常、EAを作るにはプログラミングの知識が必要になりますが、EAつくーるを使えば、コードを一から書かなくても自分のアイデアを形にすることができます。
僕自身、最初からプログラミングができたわけではありません。それでも、使い始めて2ヵ月ほど経った頃には、ちょっとしたアイデアであれば10分程度でプロトタイプを作れるようになりました。
もちろん、複雑なEAや実運用に耐えるEAを完成させるには、検証や修正に多くの時間が必要です。それでも、「思いついたことをすぐに試せる」という点は、自作EAの大きな魅力だと思っています。
EAつくーるのメリット
僕が感じている主なメリットは、次の3つです。
1.プログラミングの知識がなくても始めやすい
売買条件や決済条件を設定していくことで、EAの基本的な仕組みを作ることができます。
Excelなどのソフトをある程度扱える方であれば、操作にも比較的慣れやすいと思います。
最初は難しく感じる部分もありますが、実際に作って動かしてみることで、EAがどのような条件でエントリーし、どのように決済するのかを理解できるようになります。
2.自分のアイデアを何度でも試せる
市販EAを購入する場合、基本的には販売者が作ったロジックを使用することになります。
一方、自作であれば、
「この時間帯だけエントリーしたらどうなるだろう?」
「買いではなく売りにしたらどうなるだろう?」
「利確を早くした方が成績は良くなるだろうか?」
といった疑問を、自分でプログラムにして検証できます。
アイデアがある限り、さまざまなEAを作って試せることが魅力です。
3.上達すればコードの改変にも挑戦できる
EAつくーるで作成したプログラムをきっかけに、少しずつコードの仕組みを理解することもできます。
僕も最初はコードを書くことができませんでしたが、現在では必要に応じてコードを確認し、機能の追加や修正を行うようになりました。
最初からプログラミングを覚えようとするよりも、まずはEAを作って動かし、「ここを変えたい」という目的ができてから学ぶ方法もあると思います。
EAを自作するようになって、FXに対する考え方が変わった
ここからは、EAを作るようになって僕が考えるようになったことを書いてみます。
FXでは、どうしてもローソク足の形やテクニカル指標に目が向きがちです。
もちろん、それらも重要です。しかし、僕が意識しているのは、その値動きの背景にある市場参加者の行動です。
チャートは、売買の結果として形成されます。
どこで買いたい人が増えるのか。どこで損切りが発生しやすいのか。どの時間帯に注文が集中しやすいのか。
そうした市場参加者の行動が、価格の動きに反映されていると考えています。
僕にとってチャートは、単に上がるか下がるかを予想するためのものではなく、市場参加者の行動によって生まれる値動きの特徴を探すためのものです。
FXは「毎回の方向を当てること」だけが勝負ではない
FXは、参加者間の損益という意味ではゼロサム的な性質を持っています。ただし、実際にはスプレッドや手数料などの取引コストがあるため、トレーダー全体ではマイナスサムになります。
そのため、何も考えずに売買を繰り返していれば、取引コストの分だけ不利になっていきます。
では、どうすればよいのでしょうか。
僕は、毎回の値動きを正確に予想することよりも、一定の条件下で有利になりやすいパターンを見つけることが重要だと考えています。
例えば、ある時間帯に特定の値動きが発生したとします。
その後、買いでエントリーした場合と、売りでエントリーした場合をそれぞれ検証してみる。
すると、買いの方が有利な場合もあれば、売りの方が有利な場合もあります。
また、方向が合っていても、利確まで到達する前に損切りになることがあります。反対に、最終的な方向が予想と違っていても、途中の値動きで利益を確定できることもあります。
つまり、FXでは「上がるか下がるか」だけでなく、どのタイミングで入り、どこで利益を確定し、どこで損切りするかによって結果が変わります。
ここに、EAで検証する面白さがあります。
市場参加者の行動から、値動きの癖を探す
FXでは、よく「大衆と同じ行動をするな」と言われます。
僕も、市場参加者がどこで売買し、どこで損切りしやすいのかを考えることは重要だと思っています。
ただし、すべての値動きが大口投資家による個人投資家狩りであるとは考えていません。
実際の市場では、経済指標、金利、為替需給、機関投資家の注文、流動性の変化など、さまざまな要因によって価格が動きます。
その中で僕が注目しているのは、特定の時間帯やイベントの後に現れる値動きの特徴です。
例えば、経済指標発表後の急激な値動き、窓開け後の価格推移、東京時間に一方向へ動く相場などです。
こうした場面では、通常時とは異なる注文の集中や市場参加者の行動が発生することがあります。
その結果として、繰り返し現れる値動きの癖がないかを探しています。
「なぜ動いたのか」を考えながら、「その後にどのような動きが起こりやすいのか」を検証する。
これが、僕のEA作りの基本的な考え方です。
EAは未来を予言するプログラムではない
EAを作り始めた頃、僕は「勝てるロジックを見つければ完成」と考えていました。
しかし、実際にさまざまなEAを作り、バックテストや実運用を経験する中で、その考え方は少し変わりました。
EAは未来の価格を予言するものではありません。
過去のデータを使って、
「この条件でエントリーし、この条件で決済した場合、どのような結果になったのか」
を検証し、そのルールを機械的に実行するプログラムです。
例えば、ある条件で100回エントリーした結果、60回勝ち、40回負けたとします。
しかし、勝率60%だからといって、必ず利益が出るわけではありません。
平均利益が1,000円で、平均損失が2,000円だった場合、
60回 × 1,000円 = 60,000円
40回 × 2,000円 = 80,000円
となり、合計では20,000円の損失です。
反対に、勝率が40%でも、平均利益が平均損失より十分に大きければ、利益が残る可能性があります。
そのため、EAの検証では勝率だけでなく、利益と損失のバランスを確認する必要があります。
バックテストと最適化で気をつけたいこと
EAつくーるでEAを作成したら、MT4やMT5のストラテジーテスターを使ってバックテストを行います。
バックテストでは、過去の相場でEAを動かした場合の成績を確認できます。
また、パラメーターを変更しながら、どの設定が良い結果になりやすいかを調べることもできます。これが最適化です。
ただし、ここには大きな注意点があります。
過去の成績が良い設定を見つけても、将来も同じように勝てるとは限りません。
過去のデータに合わせすぎると、その期間だけ成績が良く、別の期間では通用しないEAになることがあります。これを過剰最適化といいます。
そのため、僕は現在、バックテストの結果だけで完成と判断しないようにしています。
異なる期間での検証や、デモ口座でのフォワードテストを行い、実際の値動きでも想定どおりに動作するかを確認することが重要です。
特に、スプレッドの拡大、スリッページ、約定遅延、価格配信の状況などは、バックテストと実運用で結果が異なる原因になります。
EA作りでは、ロジックを考えることと同じくらい、検証の仕方が重要だと感じています。
僕がEAの検証で重視していること
EAを評価する際には、さまざまな数値を確認します。
勝率
エントリーした回数のうち、利益で終わった割合です。
勝率が高いEAは心理的に運用しやすい面がありますが、勝率だけで収益性を判断することはできません。
リスクリワードレシオ
平均利益と平均損失の比率です。
どの程度の利益を狙い、どの程度の損失を許容するのかを考えるうえで重要です。
プロフィットファクター(PF)
総利益を総損失で割った数値です。
例えば、総利益が150万円、総損失が100万円であれば、PFは1.5になります。
ただし、PFが高くても取引回数が少なければ、十分な判断材料にならない場合があります。
最大ドローダウン
資金がどの程度減少したかを示す数値です。
利益が大きくても、途中で資金が大幅に減少するEAでは、実際に運用を続けることが難しくなります。
僕自身、大きなドローダウンを経験しているため、現在は利益だけでなく、資金がどの程度減る可能性があるのかを重視しています。
決済までの経過時間
これは、僕が特に意識している項目です。
エントリーしてから決済までに、どの程度の時間がかかるのか。
同じ利益を狙う場合でも、短時間で決着するトレードと、長時間ポジションを保有するトレードでは、相場変動にさらされる時間が異なります。
もちろん、短時間であれば必ず安全というわけではありません。経済指標時などは、短時間でも大きな損失が発生する可能性があります。
それでも、僕は「どのくらいの時間で決着するのか」を、EAの特徴を判断する重要な要素として考えています。
自動売買と裁量トレードの違い
自動売買と裁量トレードには、それぞれメリットとデメリットがあります。
自動売買のメリット
自動売買の大きなメリットは、あらかじめ決めたルールを機械的に実行できることです。
エントリーから決済まで自動化するEAであれば、常にパソコンの前に張り付く必要はありません。
また、利確や損切りの条件を事前に設定できるため、含み益や含み損を見ながら判断に迷う場面を減らすことができます。
資金管理のルールをプログラムに組み込めることも利点です。
自動売買のデメリット
一方で、EAは設定された条件に従って動作するため、想定外の相場変化に柔軟に対応することは得意ではありません。
例えば、重要なニュースによって相場環境が急変した場合でも、その状況を判断する機能がなければ、通常どおり売買を続けてしまいます。
また、利益をどこまで伸ばすか、どのような場面で早めに決済するかといった判断を、すべてプログラムにすることは簡単ではありません。
ただし、トレーリングストップや建値決済などを活用すれば、利益を伸ばす仕組みを作ることは可能です。
裁量トレードのメリット
裁量トレードでは、チャートだけでなく、経済指標やニュース、相場全体の状況などを複合的に判断できます。
相場環境に応じてエントリーを見送ったり、利益確定の位置を変更したりすることもできます。
こうした柔軟性は、裁量トレードの大きな強みです。
裁量トレードのデメリット
一方で、判断が感情に左右されやすいという難しさがあります。
利益が出ているときに早く決済してしまったり、損失が出ているときに損切りを先延ばしにしてしまったりすることがあります。
僕自身も、裁量トレードでは決済判断の難しさを感じてきました。
現在は「エントリー」と「決済管理」を分けて考えている
EAを作り始めた頃は、エントリーから決済まで、すべてを自動化することを中心に考えていました。
しかし、現在は少し考え方が変わっています。
エントリーは自分で判断し、決済管理だけをEAに任せる方法も有効だと考えるようになりました。
例えば、スマートフォンでチャートを確認し、自分の判断でエントリーする。
その後の利確、損切り、建値決済、トレーリングストップなどは、あらかじめ設定したルールに従ってEAに管理させる。
この方法であれば、裁量トレードの柔軟性を残しながら、決済時の迷いを減らすことができます。
現在、僕が開発・販売しているCloseMan EAも、こうした考え方から生まれた決済管理専用のEAです。
自動売買と裁量トレードは、必ずしもどちらか一方を選ぶ必要はありません。
それぞれの得意な部分を組み合わせることも、EAを活用する方法の一つだと思っています。
EAを自作する一番の魅力
EAを自作する魅力は、単にプログラムを作れることだけではありません。
自分の考えたアイデアを、実際のデータで検証できることです。
「この時間帯は買いが有利なのではないか」
「この値動きの後は、反対方向へ動きやすいのではないか」
「利確を早くした方が、結果的に利益が残るのではないか」
こうした仮説をEAにして、バックテストで確認する。
結果が悪ければ、条件を変えてもう一度試す。
その繰り返しによって、自分なりの相場の見方が少しずつ形成されていきます。
もちろん、EAを自作したからといって、必ず勝てるようになるわけではありません。
しかし、市販EAを使うだけでは分からなかったことを、自分で検証できるようになるのは大きな変化です。
僕にとってEA作りは、FXの売買を自動化するための手段であると同時に、自分の考えを検証するための道具でもあります。
これからEAを作ってみたい方は、最初から複雑なものを目指す必要はないと思います。
まずは、シンプルな条件でエントリーし、決めた位置で利確・損切りするEAを作ってみる。
そして、バックテストで結果を確認してみる。
その小さな一歩から、EA作りの面白さが見えてくると思います。
※本記事は、筆者のEA開発経験やFXに対する考え方を紹介するものであり、特定の取引手法による利益を保証するものではありません。FXには元本を超える損失が発生するリスクがあり、EAのバックテスト結果も将来の運用成績を保証するものではありません。







